DelayNoMore3
NLC (Nonlinearcircuits) ディレイ・ノー・モア3
オーストラリアの奇才Andrew Fitchが手がけたモジュラーシンセ設計の中でも、最も多くのユーザーに絶賛されているのが"Sloth"とこの"Delay No More"です。そのDelayNoMoreを3ステージにアップグレードしたデザインがDelayNoMore3です。
このモジュールには3つのPT2399ディレイチップが搭載されており、各ステージはそれ自身と前のステージへのフィードバックコントロールを持ちます。この構造により各ステージが互いにフィードバックして、複雑なループを構成できるのです。
入力信号を1~3のインプットにパッチングし、3つのアウトプットを使って異なる信号を出力できます。
もし各3系統のディレイ・ステージを独立して使用したい場合には、2列目の入力を利用するとジャックスイッチが機能して、ループを断ち切ることができます。
オリジナルのDelayNoMoreとの大きな違いは、ディレイ・ステージが2つではなく3つであること、1つではなく3つ全てをCVでコントロールできること、そして前述の通り、ステージを個別に使用できることです。
ディレイはチップを限界までスローダウンさせることができるよう他のディレイユニットとは完全に異なる設計になっています。限界を超えた時それは単なる「ローファイ」を超えて、もはや「完全に崩壊」します。一度それが起きると全てはノイズに塗れますが、ノブまたはCVを調整すればまた元に戻ることができます。崩壊寸前のローファイなディレイサウンドはDelay No Moreでしか味わえない究極の儚さが宿った美しい音色です。私はそれが本当に大好きです。それが限界を超えてノイズを発し始めるか、かろうじて音楽を保てるのか、その狭間にこそDelay No Moreを使用する価値があるのかもしれません。
*Delay No Moreは普通のディレイではありません。普通のディレイをお探しの方は、市場の99%のディレイユニットがそうである事を思い出してください。
- 18HP
- 115 mA +12V
- 32 mA -12V
- 0 mA 5V
使い方は様々ですが、IN1に何かを入力し、OUT1とOUT2を異なるディレイタイムに設定、さらにOUT2のFB-1を上げ気味にして、ミキサーでパンを振りステレオディレイのように設定する。さらに3番目の入力はIN3(2)にIN1と同じソース(異なるソースでももちろんOK)を入力して、Delayノブを崩壊しないギリまで上げておいて、CV3へのモジュレーションで狭間を見つけるような演奏が私は好きです。