TRIPLE SLOTH
Nonlinearcircuits (NLC) のSLOTHは、超低速でカオティックなモジュレーションソースです。これはLFOより複雑で興味深い軌道を描きます。特にアンビエントスタイルの音楽に最適です。
ランダムなソースは、パターンがないため、しばらくすると面白くなくなり飽きてしまいますが、カオスはパターンを作りながらも同じことを繰り返すことはないので、どこに行こうとしているのかの見当はつきますが、常に変化し予測ができません。
TRIPLE SLOTHには、独立した3系統のSLOTH(S)カオス回路が含まれています。3つの回路はそれぞれ異なる速度で動作します。速度とは2つのストレンジアトラクター(*)と呼ばれる地点の周辺を循環し、軌道を巡る時間を表します。
Triple Sloth(s) (3匹のナマケモノ)に当てはめれば、3つのセクションを以下のように説明できます。時間は各サイクルを巡るのに要する時間です。INERTIAセクションは「秒」ではなく、「分」であることに注目してください!
・TORPOR | 冬眠 : 起きてるか寝ているかわからない奴 |
15-30 秒 |
・APATHY | 無関心 : 怠惰で適当な奴 | 30-60 秒 |
・INERTIA | 慣性 : 時間の流れに身をまかせてホントに何もしない奴 | 30-60 分 |
(*)アトラクター(英語: attractor)とは、時間発展する軌道を引きつけたり、吸い寄せる性質を持った相空間上の領域を意味します。
<収束も発散もせず>奇妙な軌道を辿る「ストレンジアトラクター」(英語:strange attractor)は、カオスと呼ばれる非周期的な軌道を持つアトラクターに分類されます。例えば気象学者のローレンツ博士が発見したローレンツアトラクターは、カオスの軌道を位相空間にプロットするとループや螺旋が決して交わらない軌道となり、幾何学的な図形を描き出します。ストレンジアトラクターは点同士が小さな領域に集まったり、または引き離されたりするという共通の性質を持ちます。
★ 参考リンク
ストレンジアトラクターについて(wikipedia)
SLOTHは、一般的には2つのアトラクターの周りを循環していますが、時々それは
トレースを突然反転させたり、奇妙なヒッチを作る場合があります。2つのアトラクターを循環する場合でも、その循環の度にその軌道は異なり、CV入力を介した場合は、スパイラルが傾いたりシフトしたりと、さらに異なる軌道を辿ることになります。
「Inertia」にはコントロールがなく、思うがままに動きます。
「Apathy」と「Torpaor」にはノブコントロールがあります。
これは特に周波数などの際立った変化を与えるものではなく、「出力の重み」を変化させるものです。様々なセッティングにより、信号は一方のストレンジアトラクターを循環する時間が長くなります。別の言い方をすれば、時間の経過とともにサイクルがどのように変化するかをうながすものです。もっと抽象的な表現をすれば、ナマケモノ(Sloth)を軽く突っついたり、なでたりして循環軌道を変更させようとするイメージです。基本的な動きは、右に廻すと周期的に上下する LFO 波形のカーブが緩やかになります。周期スピードには影響しません。
TRIPLE SLOTHの「Apathy」と「Torpaor」にはCV入力が装備されています。
入力されたCV信号は「時々」カオス信号に注入され、条件によっては周期性の何かを突発的に引き起こしたり、電圧値のジャンプを引き起こす事もあるかもしれません。何も起きていないように思えるときもあります。これらの現象が起きるには一定の条件が揃うことが必要ですが、一般的には良い結果が得られています。
*補足: 各出力ごとにCV入力への反応は異なっています! CV入力を積極的に活用したい場合には、X,Y出力ではなく、Zまたはdiff出力を利用するのがおすすめです。 |
LEDは、SLOTH(ナマケモノ)の体内状態(internal state)を映し出します。アトラクターを巡る現在の軌道の「位置」を示しているとも言い換えられます。Triple Slothでは、X,Y,Zで電圧の動き方が異なるので、赤LED、緑LEDが示す位置は出力ごとに異なります。信号の挙動が変化するポイント、(Y&Z出力の)正位相/逆位相を視認できます。Y 出力を基準に、Z出力は反転、X出力のLEDへの反応はミステリアスです。
それぞれのSloth回路には、X、Y、Z出力が用意されています。
回路の異なるステージから取り出されるため、それぞれの出力は全て異なっていますが、Zは単にYの反転バージョンです。
3つのZ出力は、差動整流器にも供給され、その結果はパネル下部の+と-の出力にアサインされています。
差動整流器の出力は、(ダイオードの電圧降下を無視して)次のとおりです。
Diff+ = Z(Inertia) + Z(Apathy) + Z(Torpor) *0より大きい場合の値を出力、それ以外は0
Diff - = Z(Inertia) + Z(Apathy) − Z(Torpor) *0より大きい場合の値を出力、それ以外は0
*差動出力は、スロートからの電圧を加算しますので、それが大きければ出力はさらに大きくなり、約±10Vを動かすことができます。 アッテネータが必要になる場合があることに注意してください!
<仕様>
・サイズ:8HP
・奥行:約42mm(電源ケーブルの突起を含む)
*本製品は組み立て、検品済の完成品です!