Helical
Helical
sdkc instruments(定吉楽器)の Helicalは自己回帰型シンセシス(Autoregressive Algorithmic Synthesizer)により構成された16音ポリフォニックシンセサイザーです。
自己回帰型シンセシスにより、無限に新しいフレーズや音響を生み出し続けます。
それぞれのオシレーターは、シーケンサー、Wavetabbleオシレーター、エンベロープジェネレーター、VCAを持っており、それらは各オシレーター毎に独立しています。
ユーザーはパネル前面のSDカードに書き込むことで、スケール、LEDの色を専用のエディターで変更する事ができ、Wavetableも自由に変更可能です。
- Size : 16HP(D=40mm)
- Current draw: 220mA @12V、12mA @-12V
- マウントネジは付属しません
Helical 専用エキスパンダー(別売)
- 16個全てのオシレーターへ個別のSVF Filterの追加。
- 音量のエンベロープの長さの調整。
→ Helical専用の拡張エキスパンダー Additionはこちら
https://beatsville.jp/products/addition
Helical Githubリンク
sdkc instruments Helicalの最新ファームウェア、マニュアルなどの情報は以下の公式GitHubページでご覧いただけます。
https://github.com/SdkcInstruments/Helical
Helical マニュアル
Autoregressive Synthesis/Sequence
自己回帰型シンセシスはオリジナルの手法で、次のパラメーターを決定する為に、過去の状態を参照するアルゴリズムを持っています。 Helicalでは、それぞれのオシレーターの過去のピッチ(音高)が次の音の長さ(音価)を決定し、過去の音価が次の音高に影響を与えています。過去から螺旋状(helical)に影響を受けることにより、完全なランダムとは異なる、自然な音響を生成します。
新しい音高と音価はそれぞれのオシレーターのエンベロープが最後にたどり着いた瞬間に決定されます。
音価と音高の計算されるイメージは上記の様になります。
Helicalは既存の音楽のリズムの概念(BPMから音価を決定する)ではない、新しいリズムを探求することを目的にデザインされています。
(後述のPolyノブのCVに外部クロックを接続することにより、外部クロックとの同期もできます。)
Diagrams
Controls and Outputs
Arc/Orbit
- Helicalの出力は8オシレーターユニット毎にArcアウトプットとOrbitアウトプットにルーティングされています。
Orbitアウトに何も接続されていない場合はMonoモードとなり、Arcアウトプットに全てのオシレーターユニットがルーティングされます。
Poly
- 同時発音数を0から8 (monoモードの場合は0から16) で設定します。
つまみの位置がCCW(最も左)にしても、それぞれのオシレーターのエンベロープが終わりに到達するまで無音にはなりません。
全てのオシレーターユニットは無音状態では完全に止まっており、Polyノブを上げていくことで、それぞれのオシレーターは待機状態から動作を始めます。つまり、待機状態ではエンベロープのループは停止しており、動作状態になることで初めてエンベロープが開始します。
この特性を利用して、Polyノブを0にし、CVinにClockを接続する事で、外部のクロックと同期が可能になります。この場合HelicityノブはClockDividerの様な機能を持ちます。
Root
- ルート音を設定します。1-5vのレンジ外ではV/OCTのトラッキングが不安定になる場合があります。
Scale
- 使用するスケールとWavetableを設定します。スケールの変更はノブを回す事で、Wavetableの変更はノブを押しこみながら回す事で変更が可能です。
reloAd(左下のリロードボタン)を押しながらScaleノブを押し込み、回すことで、デフォルトの音量を設定する事ができます。 relOad(右下のリロードボタン)を押しながらScaleノブを押し込み、回すことで、FineTuneを設定する事ができます。(2022年7月13日時点では未実装) これらの設定は次回起動じも引き継がれます。(2022年7月13日時点では未実装)
Glide
- それぞれのオシレーターユニットが、次の音高に変更されるさいのポルタメントを設定します。
これらの設定はScaleやRootの変更、reloadボタンなど全てのピッチの変更に適用されます。
Spread
- 音価から音高を計算する際の音高の幅を設定します。
CCWでRootで設定された音のみ、CWでRootからG9までの幅が適応されます。
Wave
- プリセットで選択されたWavetable内をモーフィングさせます。
全てのwavetable間は保管されているので、スムースにwavetable間を移動する事ができます。
Helicity
- 音高から音価を計算する際の倍率を決定します。
音価は √音高*Helicity の計算で決定され、Helicityの値は0.002から300倍の値をとります。
Env
- エンベロープのアタックとディケイの割合を設定します。
エンベロープの割合の変更はそれぞれのエンベロープが最後に到達した後に適応されます。 これを利用して、非常に早いアタックの音、ゆっくりとしたアタック、逆再生の様な音を同時に再生させる事ができます。 ノブの左右の15%ではエンベロープのカーブがリニアからログに変更されます。
re(L)oad / (R)eload
- Arc/Orbit出力のそれぞれのユニットのパラメーターを強制的に再計算します。
5Vのゲート外部信号でトリガーする事ができます。
Lock
- エンベロープが最後間で到達しても、音高と音価の計算を行わないスイッチです。
Gateを接続することで、GateがHIGHの時はロックされます。
Wavetable Edit
Synthesis TechnologyのWave Editを使用して、オリジナルのwavetableのプリセットを作る事ができます。
上図の様に、上から8個のwavetableごとにHelicalの一つのプリセットになります。 書き出したwavファイルをbuf_wt.wavという名前にリネームして、SDカードに上書きしてください。
Wave Editのより詳細な説明や使い方についてはSynthsisTechnologyのページを参照してください。
もし他のソフトウェアやプログラムを使用する場合は、256sample、64テーブルの計16384sampleのwavファイルを書き出して、buf_wt.wavとリネームし、SDカードに上書きしてください。
Scale Edit
ScaleEditのページを参照してください。
Update firmware
Helicalは公式のファームウェア以外の対応は行いません。
非公式のDaisyのファームウェアを書き込んだことによって起きた故障は、保証の対象外となります。
HelicalのGitHubのページからファームウェア(binファイル)をダウンロードしてください。
Daisy Web Programmer のページに移動し、記載されている手順に従ってファームウェアをアップロードしてください。
DaisySeedからUSBケーブルを抜いた後、ユーロラックケースの電源を入れて、ファームウェアのアップデートが正常に行われているか確認してください。
Helicalの背面にあるシリアル番号が6から55の場合、出荷時のファームウェアはv1.11です。
Specification
Width : 16HP
Max Depth: 40mm
Maximum current draw:
- 240mA @12V
- 12mA @-12V
Audio codec: 48kHz/24bit
Control rate: audio-rate for the Helicity knob, 1kHz for the another CV inputs.
CV input range: +/- 5V (depends on the knob position)
Roadmap
- エクスパンダーの開発(SVFフィルターがそれぞれのオシレーターユニットに搭載されます。)
- ScaleEditor上でMicroTuning(微分音)のScaleを作れる様にします。